「スプリング・ブレイカーズ」 胸揺れるミュージックビデオのような映画

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以前映画館で映画を見ていたとき、とても印象的なトレーラーが流れていた。「スプリング・ブレイカーズ」だ。
友達から評判を聞いていて気になっていたのだが、扇情的な水着の少女達が鮮やかな日差しのビーチで飛び跳ねるという映像がなんとも美しい。
先日鑑賞しに行くと、R15指定でかつ平日の夕方というタイミングでありながら、劇場内は満員に近かった。

春休みに浮かれて強盗しちゃう系女子

タイトルの「スプリング・ブレイク」とは春休みの意味。
大学の春休みに旅行に行きたい4人の少女。だが貯金は思うように進まず、焦った彼女達は強盗を犯してしまう。
突然大金を手に入れた彼女達は若者であふれるビーチへ。酒と男とドラッグに溺れ、天国のようなバケーションをすごす。
そんなバケーションの途中、部屋に警察がやってきてドラッグの所持を理由に突然逮捕をされてしまう。
バケーションの終わりを覚悟した彼女達を救ったのは、ジェームズ・フランコ演じる謎の男「エイリアン」だった。

トレーラーを見た時には四人の少女が主人公だと思っていたのだが、物語の軸はこの男だった。
高級車を乗り回し浜辺の豪邸に住むエイリアン。その豪邸にはたくさんの銃に溢れる。
犯罪でのし上がった男が、春休みの大学生(スプリング・ブレイカーズ)との出会いで変化が訪れる。

撮影とエフェクトが光る PVのような作風

映画の冒頭では、大学生らしい贅沢三昧を繰り広げる若者たちの姿を、ハイコントラストな色調とスローモーションで映像化している。
トレーラーから美女満載だったが、そのビーチシーンでは胸をあらわにした女性が多く登場し、面積の小さい水着で健康的な体を晒す。
震える胸とハイスピードカメラの相性は抜群で、映画館のスクリーンいっぱいにたっぷりとした胸が映し出される。

ガールズムービーかと思わせるような冒頭だが、そのほとんどは男性に向けられたものだ。
女の子同士がイチャイチャとする姿がよく登場する。恋愛感情ではなく友達同士でのイチャイチャというのは男性から見て興奮する光景なのである。

映画全編を通して、感情の表現として色彩を利用している点も興味深かった。
画面全体をピンクなどの単色を中心としたライティングと、フィルターで色味を強調することで登場人物の感情が強く伝わってくる。
この色のフィルターもだが全体としてエフェクトが強く効いており、古いビデオのようにハイキーにしてみたり、トリップしているシーンでのスローでもったりとしたエフェクトなども面白かった。

こういった演出とビーチというロケーションからか、まるでミュージックビデオのような映画であった。
BGMもかなり上質で、映像との相乗効果でとても盛り上がる。
あえて色々なシーンをごちゃまぜに編集したり、同じシーンをもう一度流したりする点もPVっぽさを感じる。
この編集により各シークエンスがすべて一定の盛り上がりを見せる。ドラマ付きのPVを何本もつなげたような作りだ。
全体的に見るとずっと盛り上がり続けるので飽きてしまったのは残念だったが、決して速いテンポとは思わないのに93分があっという間に過ぎた。

男女とビーチ、酒にドラッグに犯罪ととにかく下品なシーンが多いのだが、それをエフェクトの効いた力強い映像とパワフルな音楽でむしろオシャレに描いた本作。
荒々しいストーリーであったがその中で男の寂しさを感じ、映像の美しさとのコントラストによってなんとも言えずあとに残った作品だった。

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