ゾンビでも恋がしたい! ゾンビのラブコメ「ウォーム・ボディーズ」

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私は、好きな芸能人の影響で数年前からゾンビ映画にどっぷりハマっているのだが、先日一風変わったゾンビ映画を見た。
それは、ゾンビが人間に恋する姿をラブコメとして描いた「ウォーム・ボディーズ」という作品だ。
これがなかなか面白く、新鮮な着目点を綺麗に料理している内容だった。

「ゾンビ」と「恋愛」の関係

ゾンビ映画といえば、元々はホラー映画として誕生したジャンルだ。
ゾンビは意志を持たずに人を襲う。そして襲われた人もまたゾンビとなる。この設定は、男女の恋愛を描く上で使いやすいことが多い。

例えば、ゾンビに追いかけられる恋人を描く。あるいは追いかけられていくうちに吊り橋効果で恋愛に発展するケースもあるだろう。
運良く恋人のどちらか一方だけ襲われれば、次に待っている展開は「ゾンビと化した恋人に襲われる悲劇」だろう。
ゾンビになる前に恋人を殺すかの決断を迫られるなんていうケースもよく見かける。

この様式に一石を投じた作品として「コリン LOVE OF THE DEAD」が挙げられる。
この映画ではゾンビを主人公に、意志のないはずのゾンビがかつての恋人との思い出の場所へ向かおうとするという内容で、ゾンビ業界ではかなり話題となった作品だ。
ゾンビと触れ合おうとする人間という図式はこれまでにもあったが、ゾンビ自身が「愛情」という感情を持っているという描写をしているというとても新鮮な内容だ。

ウォーム・ボディーズではそこからさらに一歩人間寄りとなり、ゾンビ自身がそもそも意志を持っているという世界観となっている。
イメージとしては、自分の意志と関係なくとてつもなく無気力になってしまった人といった状態で、精神疾患か何かを皮肉っているようにも感じられた。
人の言葉も時々話すがほとんどはうめき声だけで、ゾンビ同士ですごく不器用なコミュニケーションも取り合う。
そんな彼らが、空腹を満たすために人間を襲いに行った先で、襲った相手の中にいた一人の女性に一目惚れしてしまい、彼女をゾンビ達が占拠する空港に連れ帰ってしまう。

定番のギャグも視点を変えればこんなに新鮮になる

ゾンビが一目惚れした女性に尽くす、というのが序盤の主な展開なのだが、ストーリーそのものはよくあるラブコメそのものだ。
軍の大佐の娘であるヒロインは、コミュニケーション下手なゾンビに対してすぐに調子に乗ってくるお嬢様基質。
最初はビクビクしていたのにすぐにお腹がすいたからと食べ物を要求したり、すきを見て逃げ出して他のゾンビに囲まれてみたりとなんとも危なっかしい。

ゾンビから逃れるために「死んだふり」をするも演技が過剰すぎると怒られるなど、よくあるギャグをゾンビネタにうまく置き換えることでとても新鮮な印象を受けた。
恋に落ちたあとに父親に紹介するシーンなどはまさしくラブコメの定番といった雰囲気で、付き合っているのがバレたらパパに殺される!というあるあるのセリフのが冗談じゃなくなっている。

ギャグも定番ならストーリーも定番で、後半は本当にわかりやすい展開が続く。
それを最後まで楽しく見れられるのは、よく作られた愛すべきキャラクターたちの魅力だろう。

また、映像やCGについてもきちんと作られている。
最近のB級映画というジャンルはなぜか映像もしっかり作られていて、こういうのはやはりデジタルの恩恵なのだろうか。
それから、ジョン・マルコヴィッチが重要な役どころで出演している点も見逃せないポイントだろう。

普通のコメディに飽きてしまった時には、こんな変わり種のラブコメがいいかもしれない。
新しい笑いのヒントは既存の作品や概念にもたくさん詰まっていることを教えてくれた作品だった。

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