極上Z級エンタテイメント 「チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット」

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現在新宿武蔵野館では、「トロマの逆襲2013」と題し、Z級映画などと言われるトロマの作品を上映中。
先日まではその代表作といえる「悪魔の毒々モンスター」が上映されていた。
私はカルト映画にはとんと疎かったので前情報もほぼない状態でこれを見に行き、なんとも言えぬ世界観に頭をガツンと打たれてそのまま嘔吐させられた気分だった。

そして興奮冷めやらぬまま、昨日「トロマの逆襲2013」第二弾、「チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット」を鑑賞した。
チキン・オブ・ザ・デッドは2007年に制作された作品で、悪魔の毒々シリーズでは最新作。
舞台はもちろんトロマビル。トロマビルの先住民の墓地にファーストフード店が立ち、死んでいった鶏達と先住民の魂が襲い掛かる……。
そう、今度の毒々は「ゾンビ」がテーマだ。

作風は「悪魔の毒々モンスター」の頃から相変わらず、とにかくチープでグロい。
ところどころCGを使ってみたりもしているが、ほとんどは作り物や特殊メイクのバケモノ。
体中から緑色の血を放水車ばりに吹き出し、私達を楽しませてくれる。

本作では、定番の資本主義に対する批判としてファーストフード店を貶しまくるが、それにもまして多様な民族の登場が笑える。
ファーストフード店を経営するのは、KKKあがりの白人のオジサマ(カーネ○・サンダースみたいな体型)。
従業員も、高卒貧乏白人の主人公、ヒスパニック系のゲイ、すぐに自爆したがるイスラム系の女性など。

対するはレズビアンカップルが率いる抗議デモ。
メンバーの中にいる車椅子の青年が実にトロマらしさを感じる。
「先住民の墓地に資本主義のチェーン店を立てるな!」
とご立腹だが、肝心の先住民である族長は常時飲んだくれてゲロを吐き続ける始末。

今回のモンスターも、そんな先住民と鶏の魂がミックスして誕生したゾンビである。
中でも、トイレでデブ男から出産された卵から生まれたての鶏がグロい。

そして、本作を語る上でとても重要なのが音楽。なぜならこの作品は「ミュージカル映画」だからである。

音楽が流れ出し、主人公が歌うと上半身裸の女性たちや気持ち悪いゾンビたちが踊りだす。
その時ばかりは画面に登場する人物全てが歌を盛り上げるダンサーだ。

サービスシーンとしてレズビアンカップルのセックスや女性の胸が大量に登場。
だが、チョイスされた女性のレベルがあまりにバラバラなのでただの肉の塊としか認識できず、とても欲情する余地はない。
あえて言うなら胸のサイズ優先だろうか……確かに映像映えはしていた。

また、なぜか主人公がやたらと歌が上手い。
こんな作品だし適当に歌うのだろうと思って見ていたら、伸びやかな声でガッツリ歌い上げ、パフォーマンスも面白い。
ただしそれを加味しても、やたらと長い上に話が進まない歌パートに時々イライラすることだろう。

とまあ、そんなトロマイズム感じる本作。だがエンターテイメントとしての出来はビックリするくらい良かった。
大人数でのパフォーマンスが多く見栄えが良いし、社会風刺の効いたギャグもセンスが良い。
この人数規模や、いろいろな人を馬鹿にするだけして走って逃げるような展開は、とても日本では作れないだろうなと感心してしまった。

この作品、ぜひとも付き合いたてのカップルで鑑賞してほしい。
風刺にエログロ、中身の無い歌と続き、最後にはあまりにもヒドいオチが待っている。
この映画を見ても寛大な心で楽しんでくれる相手であれば、幸せな恋愛ができるのではないだろうか。
ただし、私だったらこの映画に誘われたら今後の付き合いを考えてしまうが。

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