深夜にひっそりと咲いた”怪作” 「キューティーハニー THE LIVE」

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自分にとっての「キューティーハニー」とは誰だろうか。
キューティーハニーは1973年に、アニメと漫画とのメディアミックス作品として登場。
それ以降、TVアニメで2回(それぞれ劇場版も制作された)、OVAとして2回、そして2004年には庵野秀明監督による実写映画が話題となった。
これだけ長い作品であると、それぞれの人によって初めて出会った「ハニー」はきっと別人だろう。私の場合は「キューティーハニーF」の少女漫画的な絵だった。

さて、そんなキューティーハニーだが、実は2007年にひっそりと実写ドラマ化されていたことはご存知だろうか。
実はつい先日、huluにて配信が始まり初めてその存在を知った。タイトルは「キューティーハニー THE LIVE」。

調べてみると、深夜25時に放送されていた30分間の特撮ドラマ。
主演は原幹恵というグラビアアイドル。しかも初主演。
しかも本作最大の特徴は、ハニーシステムを持つキャラクターが3人登場する。つまり、キューティーハニーが3人いるのだ。

どうだ、この香ばしさは。安定のB級臭がぷんぷんとする。

実際に見始めてみると、もうとにかくヒドイ。可愛さだけが売りのアイドルの女の子がワーワー騒いで、笑顔で敵と戦う。
ハニーといえば少しセクシーな学園の人気者が、変身するとお色気たっぷりになるというイメージだが、本作ではそのキャラクター設定がかなり異なる。
まるで幼稚園児のようなハニーが、無自覚に露出をしたりする。
かなりダルメの序盤最大の見せ場は、ハニーの変身シーンでの裸姿だろう。(これは見事)

しかし、徐々に登場する3人のハニー達が揃うと、物語は急展開を迎える。

敵・味方関わらず和気あいあいとほのぼのしていた本作は、そのバックボーンにそれぞれの重たい過去があった。
これは後になってから気づいたのだが、それまでの明るい話の中でもそこかしこに小さな「影」が散りばめられており、だんだんとそれが集約されていく。
ハニーシステムはなぜ3つあるのか。如月博士の行方は?
謎が紐解かれて行くとともに、敵であるパンサークロー、そしてハニー達それぞれの集団が崩壊していく。

序盤の明るいパートで、個性的なキャラクターを十分に描いているため、このパートでの崩壊はとても素晴らしかった。
特にハニーが学園内で孤立するシーンが見どころ。明るく可愛く頭が悪い、そんな彼女がひとりぼっちになっていく様子は心に刺さった。
この辺りまで見続けると、もうハニーは自分にとって娘のような存在になり、続きが気になってしょうがなくなっていった。

そんな全体の構成やドラマ性もさることながら、特撮モノとしてのアクションシーンもきちんとしている。
派手なカメラワークや特殊効果でしっかりと演出されており、アイドル物特有のぬるさは感じない。

また、敵であるパンサークローは4人の幹部が登場するのだが、これは交代制ではなく全員が最後まで登場し、各キャラクターの特性を生かした戦いを続けるのでとても面白い。
敵は使い捨てるもの、というのが当たり前になっているが、こういう描き方もあるのだと感心させられた。
各敵キャラクターにもドラマが用意されており、ハニー達の物語とともに、それぞれのラストを迎える。

最初に見始めたときは、本当にもうどうしようもない作品なんじゃないかと不安になった。
実写映画の成功から二匹目のどじょうを狙い、あざとくグラドルの宣伝をするための作品かと思っていたが、見終わった時には心の底から満足できた。
30分のドラマを2クール、という構成も、話を変に引き伸ばす必要も、時間の足りない部分も感じないちょうどよい長さだった。

序盤は本当に興味が持てないかもしれないが、特撮やSFが好きならば絶対見続けてほしい。
愛らしさとシリアスが交差する絶妙なラストに、思わず「やられた」と思うだろう。

それにしてもハニーシステムって、男の子をワクワクさせる設定でとてもよかったなあ。

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